24 Aralık 2016 Cumartesi

緑の鳥(Yeşil Kuş )

 昔むかしあるところに、あるスルタンの美しい娘がおりました。
ある日、お金持ちの男 の息子がスルタンに娘との結婚を申し出ました。
双方はとてもよく話し合ったあと、スル タンはその青年に娘との結婚を許しました。
 それから、40 日、40 晩の結婚式が行われ、2 人は結婚しました。

 結婚したその晩、青 年は娘が自分のことを本当に好きかどうか試してみようと思いました。
金のお皿に白ブド ウ、そして銀のお皿には黒ブドウを入れ、妻に聞きました。
 「スルタンの娘よ、さあ言うんだ、どちらのブドウが皿に合っている?」
突然の質問に、娘は皿をしばらく見た後、
「銀のお皿に黒のぶどうが、より合ってるように見えます」
と答えました。青年は期待していた答えが得られなかったために怒り狂って、
「つまりお前は私ではなく、私に仕えるアラブ人下僕が好きなんだろう!」
 夫のこの言葉に驚いた娘は、どう説明しようか考えていると、さらに悪いことがおきまし た。
青年が手に棒を持って向かってきたのです。
どうにか逃げようと部屋の角に行こうとも青年はすぐに追いつき、彼女を捕まえ、殴り始めました。棒で 40 回彼女を殴って彼女 をまるで病人のようにしてしまいました。
次の日も、次の日も…40 日の間、夫から毎日 40 回殴られていました。

  ここで一旦彼ら のことはおいておきましょう…

  その近くに、貧しい女とその息子が住んでいました。
彼はある日、稼いだ金で布を買っ てくると母親のところに持っていき、
「お母さん、この布で僕に何着かシャツを作ってくれ。だけど、この布を悩みが一つもな い人間に裁たせてくれ、僕も何の心配もなくそのシャツを着られるようにね」
と言いました。女は考え始めました。さて、近所に悩みのない人はいただろうか。
そして すぐに一人思いついて、喜んで息子に駆け寄り、言いました。
「ついこの間、結婚したスルタンの娘だ。彼女の他にいるわけがない。今すぐ娘のところ にいってくるから、いいね?」
息子は、
 「母さん、よく見つけたね。しかもスルタンの娘ときた。金持ちのところに嫁にいった。 うん、確かに彼女以外に悩みの無い人はいなさそうだ」
と言いました。女はさっそく支度 をし、わきに布を抱えて出発しました。
そして間もなく金持ちの男の屋敷に着きました。 使用人たちが扉をあけました。
その時は男が留守にしていたため、女を娘のそばにあげ ました。
夫から振るわれる暴力により体のあちこちにあざができ、骨のきしむ痛さで座る のもやっとな娘は、それがばれないように気を付けながら、
 「こちらへどうぞ、おば様。なんの御用でしょう」
 と言いました。女は、スルタンの娘が自分を笑顔で迎えてくれたのを見て、一息つきなが ら話し始めました。
「こんな朝早くからあなたにご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。私には息子 が一人おります。稼いだお金で布を買ってきてシャツを作れといったのですが、なんの悩 みもない人間に切らせ、自分も心配することなく着たい、というのです。そこで考えまし た。あなたの他にそんな人はいるはずがありません。そこであなたを尋ねたわけです。そ のお美しい手で息子のためにシャツを裁ってくだされば、とてもうれしいのですが…」
女の言葉を注意深く聞いていた娘は、しばらくじっと考えた後、
「おば様、この世に悩みのない人などいません。私だってそうです。あなたに私の悩みを 打ち明け始めたとしても信じてはくれないでしょう!そこで、今晩あなたをお客様としてもてなしますから、私の部屋のクローゼットに隠れてください。私に大きな悩みがあるこ とが理解していただけると思います!」
女はスルタンの娘に悩みがあることを知ると、何と言ってよいかわからなくなりました。
その晩、娘の悩みが何であるかを知ることに決めました。
娘はこのお客に食事を出した後、彼女を誰にも見られないように、部屋にある一番大き なクローゼットに隠しました。

 夜になると、金持ち息子が帰ってきました。
「おまえは俺じゃなくて俺の使用人を好きだったなんてな!」
と手にもった棒で娘を殴り 始めました。40 回殴った後、部屋から出ていきました。
この哀れな娘の叫びとうめきに耐 えられずにクローゼットから出てきた女は、娘の体に薬をぬってやりました。朝まで彼女 の悩みを慰めました。

 日が昇りきったころ、そのままの布を家に持ち帰りました。
母親を 心配していた息子が、
「どこにいたんだよ、母さん」
と聞くと、女は屋敷で見たことを一つ一つ説明しました。
息子もスルタンの娘の悩みを思 い、悲しみました。そして母親にこう言いました。
「母さん、僕はぼろシャツで外を歩いたって平気だ。だが、スルタンの娘を悩みから救っ てやらなくてはならない!今から屋敷にいって、旦那が彼女をまた殴りにきたときに“私 はあなたのこともアラブ人の使用人のことも好きじゃないわ。私が好きなのは緑の鳥のデ デです”と言うように言ってくれ。男は緑の鳥のデデを探しに旅に出るだろう。そした ら彼女は解放される。悲しむことはい…」

 女は息子のこの言葉を聞くとすぐ出かけ、スルタンの娘のもとへと行きました。
そして 息子から聞いたことを彼女に教え、家に帰りました。
 
 夜になり、男が娘のもとへとやってきました。
娘を殴ろうとしたその時、彼女はこう言 いました。
「私はあなたのこともアラブ人の使用人のことも好きじゃないわ。私が好きなのは緑の鳥 のデデ※1です」
娘のこの言葉に男は立ち止まりました。
緑の鳥のデデはどこのどいつだ?そいつを見つけ なければ。男は旅に出ました。 


  山を越え、谷を越え、6 か月進み続けました。そしてある草原にたどり着きました。
そこに大きな屋敷を見ました。そばに行き、使用人たちに話しかけました。
馬を小屋に括り付け、上にあがりました。目の前に扉が現れます。
その扉がひとりでに開いたかと思うと、 自分が大きな部屋にいることに気づきました。
 
 そこは部屋というよりも、誰も足を踏み入 れたことがない、森の真ん中にある庭のようでした。木、低木、花々でおおわれていまし た。
そして、どの木の枝にも花にも、低木の下にもとても美しい緑の鳥がとまっていまし た。
部屋の一番奥にある木のうろには、長い白髭の老人が座っていて、鳥たちに何かを教 えていました。 男はあいさつをして歩み寄りました。緑の鳥のデデはあいさつを返しました。
そしてこ う言いました。
「さて、息子よ。何しにここへきたんだい?」
老人がこういうと、すべての鳥たちは鳴くのをやめ、この新しい客を見つめました。彼か らの返事を待ちました。男は説明しました。

「私はあるスルタンの娘と結婚しました。
結婚したその晩、金の皿に白いブドウを、銀の 皿に黒いブドウを置いてどちらが合っているか
と聞きました。すると銀の皿と黒いブドウ のほうがいいと言ったのです。
その時、私はわかりました。
彼女は私ではなく、私につか えるアラブ人の使用人のことが好きなのだと。
なので、それから毎日 40 回殴りはじめま した。40 日ほどそれが続いていました。
そして最後の日に私に“私はあなたのこともアラ ブ人の使用人のことも好きじゃないわ。
私が好きなのは緑の鳥のデデです”と言ったのです。
そういう訳で、私はあなたを探しに来たのです」

 緑の鳥のデデは
 「他にいうことはあるか?」 と聞くと、
「いいえ、これだけです」 と男は言いました。するとデデは、

「息子よ、おまえは間違っている。おまえの妻には何の罪もない。
おまえが考えを聞いて、 彼女が答えた。彼女の答えにはなんの悪意もない。
それにお前の妻はバラのように美しい 女性だろう。
彼女の価値を理解できてなかったのだな。
よし、おまえに私の身に起きたこ とを話してやろう。
そうしたら世界にどのような女性がいるのかわかるだろう。
 …昔、学識もあり、しゃべりもよく、料理も裁縫もできる女と結婚した。
毎晩、私は近所 の誰それさんのところに行ってきます、といって出かけ、朝まで帰ってこない。
次の日も、 次の日もそうだ。これはいけない。
どこに行ったか知るために、ある晩妻のあとをついて 行った。
ついていくと、ある岩の前に出た。
彼女は私に気づいていなかった。突然、“砕け ろ、石よ、砕けろ!”と叫んだ。
すると岩が砕けて、彼女は中に入った。私は外に取り残 されてしまい、どうしようもなかったので
家に帰って寝た。妻は朝方家にもどってきた。
 その晩、私は食べ物を入れた袋と剣を持って、また気づかれないように妻の後をつけ、
岩の前にやってきた。そして隅に隠れた。彼女が“砕けろ、岩よ、砕けろ!”と言うと、岩 は砕けた。私は彼女より前に中に入った。彼女も私のあとに中に入った。
見たところ、ほ のかな光がある。彼女に気づかれないように隅に隠れた。
妻は奥に進み、光のそばに近づ いた。すると彼女の隣に大男が現れたではないか。
この大男の片方の唇は地面にもう片方 は空にあった。
私の妻はそいつのそばに近寄りながら
“ああ、決して怒らないでください。 旦那を寝かせられなくて、遅れてしまいました”
と話し始めたのだ。そのあと 2 人は一緒 にいて、やがて疲れると寝始めた。
私は彼らのそばに行き、剣を一振りして、大男の頭を 切り落としてやった。
袋に入れて岩の入り口へ行き、“砕けろ、岩よ、砕けろ!”と言った。
しかし、岩は砕けなかった。
待つしかなかった。
朝方、妻が起き、隣にいた大男に頭がな いことに気づくと、恐怖におびえ、悲しんだ。
そして“あの旦那がいなければ、ここにと どまり、彼のために喪に服したのに”と言った。
頭の中が真っ白になった。しかし、身動 き一つしなかった。
彼女が近くに来たが、私に気づきはしなかった。
“砕けろ、岩よ、砕け ろ!”と彼女が言うと、岩が砕けた。
私は気づかれないように彼女の前に外に出て、先に 寝床にはいった。
彼女もあとから帰ってきて、隣に寝た。
朝、起きると彼女は私に、「私は 40 日、40 晩喪に服さないといけません。
私を待たないでください、それではいってきま す。」と言うと、私は怒った。
すぐに袋を手に取り、ひっくり返した。大男の頭が部屋の真 ん中にポトっと転がり落ちると、
妻は驚愕した。床に倒れた。大男の頭を手に取るや否や、 彼女はロバになってしまった。
片方の目から涙を、もう片方の目から血を流し始めた。ロバを小屋に連れて行って縄でつないだ。今もそこにいる。これらがわしの身に起きたこと だよ」

  緑の鳥のデデが話を終えると、男は考え始めた。
デデの身に起きたことを知ると、自分 が間違っていたということがよくわかった。
そして、そこにいる緑の鳥たちが気になって いた男はデデに聞きました。

「デデ、この鳥たちをなぜここに集めたのですか」
緑の鳥のデデは言いました。
「息子よ、この鳥たちのすべては人間なのだよ。しかも、悩みのある人間だ。世界のどこかで酷い目に遭い、悩みや悲しみを抱えた人間がいると知らせが入ると、緑の鳥として彼 らをここに連れてきて、自分の子供とする。そして毎日、美しい言葉でその心の傷を、悲 しみを、取り除いてやっているんだよ。わかったかな?」
男は、言いました。
 「わかりました、おじいさん。あなたはいい人なんですね!」
 デデは言いました。
「おまえも良い人になるように頑張るんだよ」
男はデデのこの言葉を受けて、妻が自分をなぜここに導いたのかがわかりました。
さよ うなら、といってそこを離れようとしたとき、緑の鳥のデデは彼に一本の花を手渡して、
 「この花を受け取りなさい。心に傷を負ったおまえの妻に渡しなさい。頭につけるがよい。 さすれば、悩みから、悲しみから解放されるだろう…」
と言いました。 男は花を受け取り、そこを離れました。
馬に乗り、出発しました。

 
 山を越え、谷を越え、 昼夜を問わず、歩みを進め、家に着きました。
妻のそばへと行き、緑の鳥のデデがくれた 花を妻に渡しました。
頭につけるよう言いました。
 娘は喜んで花を手に取り、頭につけました。
しかし、どうしたことでしょう。
花を手に 取るや否や、彼女は姿を消してしまったのです。
あたりを見回した男が見たもの、それは、 緑の鳥でした。
妻は緑の鳥となり、窓の外へ飛んでいくところでした。
彼女を逃がさない ように窓を閉めようと駆け出しました。
しかし、間に合いませんでした。鳥は飛んで行っ てしまいました。
妻に 40 日もの間、不当な暴力を振るってしまったことがいかに罪重きものだったか。
男は、彼女を手放してしまったことでそれをさらに痛感することとなりました。
しかし、 もう一度彼女を連れ戻すために緑の鳥の園に行くことが何の意味もなさないと悟り、
自分 の運命を受け入れました。間違いを認めました。
そして間違いを二度と起こさぬよう、心に刻んだのです。


※1 おじいさん、の意。

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